住宅性能評価

 Q1.住宅性能表示制度とは?
 住宅性能表示制度の要点は、次の4点です。
1. 住宅の性能を表す共通ルールの制定
住宅性能表示制度の目的は、新築住宅の基本的な性能(構造の安定、火災時の安全、高齢者等への配慮等)を具体的に示すことにあります。そのための共通ルール(住宅性能表示基準、評価方法基準)を設け、住宅取得者による住宅の性能の相互比較を可能にしようとするものです。
共通ルールは、国土交通大臣が「日本住宅性能表示基準」で、住宅の性能に関し表示すべき事項と表示の方法の基準を定めています(具体的な表示すべき事項と表示の方法についてはQ2参照)。
2. 第三者機関による評価制度の整備
共通のルールが確実に運用されるためには、誰もが納得できるように、住宅の性能を第三者が客観的に確認する必要があります。
そこで共通ルールに従い、第三者評価を行う機関を国土交通大臣が指定する「指定住宅性能評価機関」といい、「評価員」資格を持った人が、その業務に当たります。具体的にはQ5のような流れで、評価・評価書の交付が行われます。
3. 工事請負契約等への反映
設計住宅性能評価書(設計段階の評価、Q5の@AB)またはその写しを契約書に添付すると住宅供給者は、設計住宅性能評価書に書かれた性能を実現しなければなりません。(具体的にはQ5のC参照)
4.紛争処理体制の整備
住宅に関するトラブルを解決する方法として、民事裁判がありますが、当事者双方とも多大な時間と金がかかるのが一般的でした。
今回、この制度による評価を受けた住宅については、建築後万一トラブルが発生した場合、裁判外の紛争処理機関により、1万円程度の費用で紛争処理の円滑化、迅速化が図られる制度が設けられています。
 Q2.「表示すべき事項と表示の方法」とは、具体的にどのようなことですか。
 表示すべき事項とは、大きく分けると次の9項目に分けることができます。
また表示の方法は、原則等級で表されます。等級1が建築基準法の水準を満たしたレベルです。等級が上がるごとに性能も上がります。
1. 構造の安定に関すること
地震・台風・雪などに対してどれだけの対抗力があるかを示すものです。このうち、例えば「耐震等級」については、下記のようになります。
「耐震等級」
等級1 建築基準法の水準
等級2 同法の1.25倍の力に耐えるもの
等級3 同法の1.5倍の力に耐えるもの

2. 火災時の安全に関すること
火災報知設備の設置状況や、建物の燃えにくさを示すものです。このうち例えば「感知警報装置設置等級」については、
「感知警報装置設置等級」
等級1 住警器を設置していない場合も含めて、等級2未満
等級2 消防法等に規定する感知警報装置(住宅用火災警報器、以下住警器)が台所及び1以上の居室に設置してある
等級3 住警器が台所と全ての居室に設置してある
等級4 住警器がネットワークになっている自動火災報知設備

3. 劣化の軽減に関すること
材料の劣化を軽減する(劣化の進行を遅らせる)ための対策がどの程度手厚く講じられているかを示すものです。この対策は建物の構造(木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造)によって異なります。木造の場合は、材料の小径、保存薬剤処理の有無、床下の換気状況などが評価されます。
「劣化対策等級」
等級1 建築基準法の水準
等級2 2世代(概ね50〜60年)まで使える対策が講じられている
等級3 3世代(概ね75〜90年)まで使える対策が講じられている

4. 維持管理への配慮に関すること
給排水管及びガス管の維持管理(清掃、点検及び補修)を容易とするための必要な対策の程度を示すものです。
「維持管理対策等級」
等級1 特別な対策がない場合を含めて、等級2未満
等級2 配管をコンクリートに埋め込んでいない
等級3 掃除口及び点検口が設けられている

5. 温熱環境に関すること
暖冷房に使用するエネルギーの削減のための断熱化等による対策の程度を示すものです。
「省エネルギー対策等級」
等級1 等級2未満は全て
等級2 昭和55年に制定された基準(通称「旧省エネルギー基準」)に適合したエネルギー削減を得られる対策を講じた住宅
等級3 平成4年に制定された基準(通称「新省エネルギー基準」)に適合したエネルギー削減を得られる対策を講じた住宅
等級4 平成11年に制定された基準(通称「次世代省エネルギー基準」)に適合したエネルギー削減を得られる対策を講じた住宅

6. 空気環境に関すること
居室の内装材からのホルムアルデヒドの放散量を少なくする対策の程度と、有害な化学物質を低減するための換気対策の程度を示すものです。
このうち、例えば「ホルムアルデヒド対策等級」について、まず、床材や壁材のホルムアルデヒドの放散量による等級は、日本工業規格(JIS)や日本農林規格(JAS)に定めれており、このうちJISでは次のようになっています。
ホルムアルデヒド放出量 表示の区分
0.5mgH以下 E0
1.5mgH以下 E1
5.0mgH以下 E2
放出量はE0が少なく、E2が多い建材です。そこで、本項目における等級も、この放出量の等級を引用して定められています。
「ホルムアルデヒド対策等級」
等級1 放出量が不明な内装材が使用されている住宅等
等級2 E2等級相当の内装材が使用されている住宅
等級3 E1等級相当の内装材が使用されている住宅
等級4 E0等級相当の内装材が使用されている住宅

7. 光・視環境に関すること
窓が、東西南北どの方位にどれだけ開いているか示すものです。本項目は等級ではなく百分率で表示されます。
「単純開口率」は、開口部の面積の床面積に対する割合を表します。割合が大きいほど日照・通風は有利ですが、構造耐力は低下します。
「方位別開口比」は、開口部の面積の各方位毎の比率を表します。南や東西の割合が高い家が住み良いといえます。
8. 音環境に関すること
主に共同住宅の基準で、界壁(隣戸との間の壁)や界床(上下住戸との間の床)がどの程度の遮音性能を持っているかを示すものです。
もともと遮音性能については、JISに定められており、性能指標としてRrが使われています。Rrによる評価では、その数値が大きいほど、空気伝搬音をより遮断する構造であることを表しています。そこで、本項目における等級もJISの評価方法を引用して定められています。
このうち、例えば「透過損失等級(界壁)」については、
「透過損失等級(界壁)」
等級1 建築基準法に定める空気伝搬音の遮断の程度が確保されている
等級2 基本的な空気伝搬音の遮断性能(特定の条件下で日本工業規格のRr−45等級相当以上)が確保されている
等級3 優れた空気伝搬音の遮断性能(特定の条件下で日本工業規格のRr−50等級相当以上)が確保されている
等級4 特に優れた空気伝搬音の遮断性能(特定の条件下で日本工業規格のRr-55等級相当以上)が確保されている

9. 高齢者等への配慮に関すること
住戸内における高齢者等への配慮のために必要な対策の程度を示すものです。
評価基準は、等級ごとに@部屋の配置、A段差、B階段、C手すり(姿勢変化対応及び転落防止対応)、D通路及び出入口の幅員、E寝室、便所及び浴室の広さ等の要求する水準が事細かく定められており、各等級を具体的に文章で述べることは困難です。
非常に抽象的になりますが、「日本住宅性能表示基準」の「別表」には、各等級について次にように示されています。
等級1 住戸内において、建築基準法に定める移動時の安全性を確保する措置が講じられている
等級2 高齢者等が安全に移動するための基本的な措置が講じられている
等級3 高齢者等が安全に移動するための基本的な措置が講じられており、介助式車いす使用者が基本的な生活行為を行うための基本的な措置が講じられている
等級4 高齢者等が安全に移動することに配慮した措置が講じられており、介助式車いす使用者が基本的な生活行為を行うことを容易にすることに配慮した措置が講じられている
等級5 高齢者等が安全に移動することに特に配慮した措置が講じられており、介助式車いす使用者が基本的な生活行為を行うことを容易にすることに特に配慮した措置が講じられている
 Q3.地盤の評価は行わないのですか

 地盤は評価の対象になりませんが、住宅の設計・施工を行う場合、前提として地盤の状況を適切に調査したうえで、基礎の設計・施工を行うべきです。
 例えば、地盤が軟弱にもかかわらず、地盤状況を配慮しない基礎を設計・施工したため、家が不同沈下(傾く)した場合、「基礎の瑕疵」として、設計者・施工者の責任が問われることになります。

 Q4.どのようなメリットがありますか

 住宅供給者には、自社PRが可能になります。
 例えば、「耐久性に関しては、日本住宅性能表示基準における等級3を達成」ということをパンフレットや広告でPRすることが考えられます。
また、工務店は、ブランドイメージがある大手ハウスメーカーに比べて一般的に信用上不利とされていますが、住宅性能評価を設計及び完成の段階で受けておけば、住宅取得者に安心して購入することができます。
住宅取得者には、取得しようとする新築住宅の性能が明らかになり、きちんとその性能が達成された住宅の引き渡しを受けられます。
また、Q1−4で述べたとおり、建築後のトラブルも安心です。

 Q5.住宅性能評価に係る手順はどのようになっていますか
 住宅性能評価に係わるフロー(戸建て注文住宅の例)は次のとおりです。
@ 申請者(住宅供給者、住宅取得者いずれでも可)は、設計評価申請書に添付図書(自己評価書、設計内容説明書、配置図・平面図などの図面、構造計算書など)を添えて、指定住宅性能評価機関に提出します。
A 次に設計図書に書かれた性能が評価され、
B 「設計住宅性能評価書」(設計段階の性能の証明書)が交付されます。
C 住宅供給者と住宅取得者が請負契約をする際に、設計住宅性能評価書、またはその写しを契約書に添付すると、住宅供給者は、設計住宅性能評価書に書かれた性能を持つ住宅を実現することが、契約内容とみなされます。
D 申請者(@に同じ)は、建設評価申請書に添付図書(@に同じ)・施工状況報告書・建築確認済証の写し・設計住宅性能評価書(写し可)を添えて、指定住宅性能評価機関に提出します。
E 施工中は、
   イ. 基礎配筋工事完了前
   ロ. 屋根工事完了時
   ハ. 内装仕上げ完了前
の3回、設計図書どおりに施工が行われているかどうか検査が行われます。
F 完成すると設計図書どおりに完成し、契約で取り決められた性能が実現できているかどうか、完成段階の検査が行われ、
G 「建設住宅性能評価書」(完成段階の性能の証明書)を交付されます。
 Q6.住宅性能表示制度は強制的な制度ですか?
 住宅性能表示制度は、あくまでも住宅供給者と住宅取得者の任意の選択によって活用していただくものであり、必ず使わなくてはいけないというものではありません。
しかし、実際にこの仕組みを使うにしても使わないにしても、住宅供給者は住宅取得者に制度の内容を説明できるよう、正確に制度の具体的な中身を理解されることがまずは重要だと考えられます。
 Q7.中古住宅でも評価してもらえますか。
 住宅性能表示制度は、「新築住宅」が対象で、中古住宅は、この制度の対象外です。

H13.4.13
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